2016年に福島で撮影し、東日本大震災と原発事故後の福島で生きる人々

2016年に福島で撮影し、東日本大震災原発事故後の福島で生きる人々を描いた映画「彼女の人生は間違いじゃない」が公開されている。

 仮設住宅で暮らす父と娘、居間には津波にさらわれたままの母親の写真。福島県郡山市出身の廣木隆一監督(63)は、「震災前の原風景を知っている者として、福島の今を描いた」と語る。

 11年3月11日、廣木監督は郡山市の実家に帰る新幹線の中で震災に遭った。家族の無事を翌日確認し、帰京してから東京電力福島第1原発事故が起きたことを知った。

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 当時は映画「RIVER」の準備中だったが、予定を変更し震災の約2週間後に東北へ。福島、宮城、岩手とカメラを回し「その時の感情を撮った」。映像はRIVERに盛り込んだが心の整理がつかず、震災を主題にした作品を撮る気持ちにはなれなかったという。

 自分が抱える「沸々としたもの」を、映画の原作となる小説にぶつけた。短編映画の撮影で福島の空気に触れながら、15年に書き上げた。

 主人公の女性は市役所に勤めながら週末に上京し、現実から逃れるように風俗で働く。農業ができなくなった父親は補償金をパチンコにつぎ込む。被災者支援に苦闘する市職員、卒論で福島を扱う県外の大学生。原発事故が影を落とす日常をつづった。

 映画は16年9月から制作に取りかかった。津波が来る前の海岸や原発ができた当時の町。自身の中の原風景と重ね合わせながら、福島で約3週間撮影した。

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 福島に通う中で、津波で家族を失い、遺体も見つからない人が多いことを肌で感じた。小説では主人公の母親はがんで亡くなった設定だったが、映画では津波で行方不明に変えた。撮影で使った漁船の船長も妻を津波で失い、遺体が見つかっていなかった。廣木監督は「同じような経験をした人がたくさんいた。逃げずに正面から取り上げようと思った」と話す。

 綿密な取材を重ねたが、「福島の人の気持ちは突き詰めれば誰にも分からない。けれど、それが映画を撮らない理由にはならない」と言い切る。福島でも公開され、「出身じゃないと撮れない映画」と評する地元の人もいた。

 「全体のテーマは生と死」と語る廣木監督。強い思いを「彼女の人生は間違いじゃない」というタイトルに込めた。